臨床試験の対象患者として適格性を欠く患者だったということで、その適格性基準は医師の裁量権に優先する、という判決内容だったようです

まったく当たり前の判決です。

「被験者保護のため基準は厳格に扱われるべきで、医師の裁量を安易に認めることはできない」

治験に参加していただき、最先端の医療機器を使っていただくことが患者さんの利益になる、と、医師は考えがちであって、また、患者にもそのような説明がなされている、ということなののでしょうか?


治験というのは効果があるかどうかについて判らないから行われているものであって、人体実験なのです。

だけども、このプロセスが薬
剤や医療機器が上市されるのには必ず必要なのだということを、きちんと説明して行うのが当たり前です。

臨床試験において守らねばならないことは、医療機器の場合、
医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令
(平成十七年三月二十三日厚生労働省令第三十六号)

に定められています。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H17/H17F19001000036.html

薬剤の場合は
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
(平成九年三月二十七日厚生省令第二十八号)
に定められています。

治験は必ず説明書と同意書があります
それにサインしないと実施すること自体が無理なのに、どうして適格性を欠く患者が医師の裁量権で入れられるのかがわからないし、
なおかつ、裁判所で医師の裁量権の範疇だと主張をすること自体が判りません。

大学病院が臨床試験の意味を理解していないのであれば、そもそも、大学は「研究機関」であるのだから
大学としての適格性が問われるべきでしょう。
厚生労働省から厳しいご指導を受けたらいかがでしょうか?

裁判に負けたくないからと言って、こういう主張を裁判所でするのは、恥ずかしいとおもいます。



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産經新聞

東京女子医大に賠償命令 治験参加の女性死亡 東京地裁

 東京女子医大病院(新宿区)で治験中の補助人工心臓を装着した女性=当時(41)=が死亡した問題で、遺族が大学側に約3100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日、東京地裁で言い渡された。菅野雅之裁判長は「体格が基準を満たしていないのに治験を実施した」として、約850万円の支払いを命じた。

 判決によると、女性は平成19年3月、治験に参加し、補助人工心臓「エバハート」の埋め込み手術を受けた。いったん退院したが約1年半後、脳出血のため死亡した。
 菅野裁判長は、手術と死亡の因果関係を認めたうえで、女性は治験対象の基準より小柄だったと指摘、「被験者保護のため基準は厳格に扱われるべきで、医師の裁量を安易に認めることはできない」とした。
 東京女子医大は「判決を詳細に見ていないので、現時点ではコメントできない」としている。